旭川家庭裁判所 昭和46年(少ハ)4号 決定 1971年11月10日
主文
本件申請を却下する。
理由
一 本件申請の要旨は、「少年は、昭和四五年一一月一六日当裁判所で期間を一年とする戻収容決定を受け、同月二〇日千歳少年院に収容されたものであるが、同室の少年に対し暴行、わいせつなどの行為を数回行ない、そのため降級になり、その処遇段階は、まだ二級下にとどまつている。この反則行為および平素の行動からみて、少年の非行の主因といえる性格の矯正は十分になされていない。なお少年の従来の経歴等をも考慮すると、少年については収容継続を行ない、仮退院で出院させた後、相当期間保護観察を続けることにより、その更生を図ることが必要である。よつて昭和四七年一一月一五日までの収容継続を申請する。」というものである。
二 ところで、本件は戻収容により在院する少年に対する収容継続申請事件であり、その可否については解釈の分かれるところであるが、当裁判所はつぎの理由により本件申請は不適法であると解する。
すなわち、その理由は、従来の消極説の説くところにつきるが、収容継続の対象者は、少年院法第一一条第一項に規定されている「在院者」であるところ、この「在院者」とは、文理上、期間を定めないで少年院に収容された少年、つまり少年法第二四条第一項第三号により少年院送致決定を受けた少年と解され(少年院法第一一条第八項との対比からもそのように解される)、しかも、収容継続決定、戻収容決定等に際しては期間を定めることが法律上要求されているが、これは人権保障の見地から保護処分の最大限度を定めることを要求している趣旨と解され、この点からも「在院者」を上記のように解するのが相当である。
そうすると、少年は昭和四五年一一月一六日当裁判所において、同日から一年間を限度として特別少年院に戻収容するとの決定を受けたものであるから、前記「在院者」にあたらないことは明らかである。
したがつて、本件申請は許されないからこれを却下することとし、主文のとおり決定する。
(裁判官 浅野正樹)